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日々のつらつらヲタ雑記
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ロクアレ文の最後~~。やっとアプできましたー!
結局このノリになりました。
辛気臭いというか、女々しいというか・・・・ぬおおおお。

最後までご精読ありがとうございました!
・・・次がんばろう!(オイ)


拭いきれなかった水分を、波打つ髪の先から滴らせながら、ロックオンはバスルームから戻ってきた。

部屋には空調の音と、それよりも小さなアレルヤの寝息だけがして。

男二人が横たわるには窮屈な寝台に、先刻と同じく、自分に背を向けた姿のまま、眠るアレルヤがいる。

汗と体液で濡れた身体は、もう乾いたろうか。

むき出しの素肌に触れようと伸ばした手は、暫くその場に留まるが、宙だけを切って戻された。

アレルヤの肩の上までシーツを引き上げると、寝台の端にロックオンは静かに腰を下ろす。

「やはり、お前は冷たい男だ」

背後から聞こえてきた固い声に、ロックオンは溜息と共に苦笑する。

ハレルヤだ。

「・・・アレルヤは?」

「眠っている。だから出てきた。―――せめてこいつが眼を覚ますまで、横に眠っていてやったらどうだ。潔癖症でもあるまいに」

ハレルヤの口から飛び出した科白と本人の、激しいギャップに苦笑が収まらない。

まるで、アレルヤが小さな子供のように聞こえる。

もしくは、自分とアレルヤが、愛を囁きあう恋人同士の関係であるように。

以前の自分なら、軽く切り返せただろうに、気の利いた言葉のひとつも何故か出てこない。

そのかわり苦笑が零れて、耳ざとく聞きつけたハレルヤに、

「笑ってんじゃねえよ」

と、背中を叩かれた。

『らしくない』

決して汚れた身体が不快だったわけでも、ましてアレルヤが疎ましかったわけでもない。

なのに。

隣に居るのが落ち着かなくなり、訳も分からぬままバスルームに逃げ込んだ。

「泣いてたぞ、アレルヤ」

「お前が泣かしたんだろうが。エロジジイ」

「だったらいいんだけどな・・・分かってるんだろう?」

互いに背を向けたままだから、表情は読めない。

けれど、多分ハレルヤは、渋い顔をしているのだろうと思う。


アレルヤは泣いていた。

男の流す涙など、気持ち悪いただの水だと思っていたのに、唇で受け、口に含んだのは、甘くて苦い雫だった。

アレルヤの涙が、快感から生じたモノでないことに気付かぬほど、ロックオンは鈍感ではない。

行為の続きを望んだのは、泣きたかったからだ。

切欠を欲していただけで、自分を求めたからではない。

自分でなくとも・・・。

『・・・もしかして、落ち込んでるのか、俺は』

落ち込む理由など、今の所思い当たるものはひとつしかない。

『おいおい。冗談だろ・・』

軽い衝撃に、ロックオンはこめかみを押さえる。

恋情など、自分と彼の間には存在しないはず。

少なくとも、自分にはなかった。

―――オンナ相手にするより、リスクもねえ手間も省ける―――

ハレルヤの言葉は、間違いではないのだ。

「別に、酷いことを言われたわけじゃあない。本当のことだ」

随分間をおいて発したハレルヤの声を、ロックオンはうっかり聞き逃す所だった。

「お前なんかより、絶対俺の方が、あいつを大事にしてる」

「・・・否定しません」

「当ったり前だ」

でも。

いったん言葉を区切ったハレルヤの声が、擦れて割れる。

声が擦れるほど啼かせて、泣かせて。

なのに、その喉を使い、今言葉を発しているのは、違う人格。

「どれだけあいつを想っていても、俺は、あいつを抱きしめてやれない」

「―――――」

思わず、ロックオンは上体を捻った。

ハレルヤは相変わらず、自分に背をむけたまま、シーツに包まり横になっている。

ほんの数十分前まで熱を共有し、抱き合った身体。

鍛えられた肉は、オンナと違う柔らかさと滑らかさで自分を受けとめた。

「どんな時も、一緒に居てやれるけれど、あいつの身体を抱きしめることは、出来ない」




「お前が人肌恋しさに、アレルヤを抱くよう、あいつも他人のぬくもりが欲しい時があるんだってことを、俺は失念していた」

「・・・ハレルヤ」

「俺はあいつさえいれば、身体に触れられなくとも構わない。何時だって傍にいるのだから。・・あいつも俺と同じだと思い込んでいた」

アレルヤも、同じだと思った。

一番大切なのは、ハレルヤで、それが揺らぐことはないだろう。

でも。

「だから、俺が勝手にショックを受けて落ち込んでただけで。ったく、あいつのせいでもなんでもねえのに、めそめそ泣きやがって・・・」

アレルヤは、はっきり『思い』を『言葉』にしたわけじゃあない。と、ハレルヤは言った。

「あいつには、そんなことは出来ない」

それでも、分かってしまったのだ。

彼らは同じ身体に宿るのだから。

伝わればハレルヤを傷つけると、身体の奥に、心の奥に隠していた『言葉』を。


―――彼は、僕を抱きしめてくれる。僕の身体を、長い腕で抱きしめてくれる―――


「あいつは怖がりで、小心者で。何時だって寂しいんだ。だから、嘘でもいいから、こんな時ぐらいもっと優しくしてやってくれ。・・・俺も、邪魔しないよう最大限努力する」

お前のことは大嫌だけれど、アレルヤが、それを望むのなら。

そう締めくくり、ハレルヤは再び沈黙する。

「・・・・・」

ああ。

何てことだと、ロックオンは天を見上げ――そこには星空も晴天もないが――自身に絶望する。

眼の前の『彼』を、抱きしめたくなってしまった。

眠るアレルヤも、自分を大嫌いだと言い切るハレルヤも。

どちらも、いとしいと、思ってしまったのだ。


自分から一線を引いて、アレルヤに接していたくせに。

突然、自分から甘くて苦い恋の中に落ちてしまったなんて。

『みっともなくて、誰にも言えやしないぜ』




おわり。



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岐阜の片隅に暮らす腐女。
年頃のお嬢さんを持つヲタ友達が欲しい今日この頃。
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