何だか面倒くさくなって、拍手はっつけるのは先送り~~。
またでいいか。
でもって、アレ→ロク短文。
アレ→ロクなのか、ロク→←アレなのか。
もう、この二人がイチャイチャしてれば、どっちでもいいよ。
確かロクオンはアイルランド出身だったと思ったんですが。
アイリッシュコーヒーって甘いんですよね?(つか、あれはカクテル類なのか)
ロクオン、時々甘いコーヒー飲んでたら可愛いなという妄想。
文庫のページを捲り、そのまま、テーブル上のカップに移動させる。
けれど、指先に触れたのは冷たい陶器ではなく、人の指先。
「えっ」
驚いて反射的に手を引くと、自分のカップを白い手が掴んでいた。
「ああ、驚かせちまったか。すまない」
「あ。・・・いえ、すみません」
大袈裟に反応してしまった自分が恥ずかしくて、頬が熱くなる。
ここには、自分とロックオンの二人だけ。
人の指に触れたのならば、彼の人の指でしかありえない。
それを、得体の知れない――例えば幽霊――モノに触れたみたいに。
気を、悪くしていないと良いのだけれど。
目蓋を僅かに伏せたアレルヤの心配を余所に、ロックオンの声音は普段通りだ。
「熱いのにかえてやろうと思って」
見れば、彼のもう片方の手には、カップが二つ握られている。
そう言えば、先刻からコーヒーの良い匂いがすると思ってはいたけれど。
「俺もコーヒーが飲みたくなって、新しいのいれたから。飲むだろう?」
冷たくなったコーヒーも飲めない程ではないが、彼が自分の分もいれてくれたのが素直に嬉しかった。
「ありがとうございます。頂きます」
「そうこなくっちゃ」
はい、どーぞ。
差し出されたカップを、アレルヤは両手で受け取る。
白い湯気と共に、鼻腔に届く芳しい香り。
ゆっくり、最初のひとくちは、熱を確かめるよう慎重に口に含んで、
『・・・あれ?』
想像していたのと、後味が違うことに、アレルヤはもう一度カップに口をつける。
―――甘い。
ほぼ同時に、
「あれ?」
隣の椅子に腰を下ろしたロックオンが、自分のカップをしげしげと眺めて、次にアレルヤのカップを見た。
二つは同じ形で、同じ色。
多分、不思議な顔をしているだろう自分と視線がかち合うと、手袋を外したままの手で、ロックオンは口元を押さえ、もそもそと呟いた。
「悪い、間違えた。お前さんのはこっちだ」
バツの悪そうな顔で、いれ直して来ると、席を立とうとしたロックオンの腕を、アレルヤは咄嗟に掴んだ。
「これはこれで、悪くないですよ」
「・・・甘いだろう」
「甘いですね。でも、時々なら悪くありません」
「俺だって、毎回甘いコーヒー飲んでるわけじゃない。たまたま飲みたくなってだな」
「そうですね」
何とも。
一連の動作が可愛らしい。勝手に顔が緩む。
この人でも、恥ずかしいと思うことがあるのか。
ロックオンに聞かれれば「失礼な奴だな」と、臍を曲げるかもしれないけれど、常に余裕のある『大人』の顔しか見せないのだ。彼は。
だから、何だかより一層親しみを感じてしまう。
「何なら、取り替えっこしましょう。僕は構いませんよ」
「・・・俺、飲んじまったぞ」
「僕もです。もっとも、貴方が僕が口をつけたモノなどお断りだと言うなら、別ですが・・・」
莫迦言え。と、ロックオンが眉間に皺を寄せる。
「俺はティエリアほど、潔癖症じゃあないぞ」
言って、やっと笑んだロックオンに、アレルヤも笑みを深くした。
互いのカップを交換する時、再び、指先がロックオンの指に、触れる。
白い、形の整った指先。
「もっとも」
「――はい?」
「相手が、お前さんでなかったら、お断りしてるだろうけど」
「え・・・」
どきん。と、心臓が不意に大きく跳ねて。
アレルヤは思わずカップを取り落としそうになった。
「・・・ロックオン、それは、どういう意味・・・」
口に出してしまってから、アレルヤは激しく後悔した。
つい。
和やかな雰囲気に流されて、言ってしまったけれど、良く考えれば、リップサービスだと分かるのに。
何故、自分はこんなにも『うっかり』していて、後先を深く考えないのだろう。
言われたロックオンだって、きっと困惑する。
けれど。
「言葉通りの、意味だけれど?」
「・・・・・」
やはり普段通りの口調で言って、ロックオンはカップに唇を寄せた。
ひとくち飲み、ふたくち飲み「甘くしすぎた」と笑ってから、
「だからさ」
言葉をなくし、動けなくなったアレルヤの手から、カップを奪い、自分のと一緒にテーブルに置いた。
一気に距離をつめる。
「お前さんとなら、こんなことしてもいいって意味」
ちゅ。
小さな口吻音がして。
唇が重ねられた時には、腕が、ロックオンの身体を抱きしめていた。
この後、アレがロクを押し倒してたりするといいなと思うんですが。
そしてティエリアは潔癖症で神経質だといいな。
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